大学受験のための有益情報

最小限の努力で最大限の実績を出すためのポイント

1、「学歴の道」か「実力の道」か…最終学歴主義という現実
2、大学受験の現状について…一般入試とAO入試はどこが違うのか
3、国公立大学と私立大学の違いについて…センター試験とは何か
4、文系学部と理系学部の違いについて…法経文教社と医理工薬獣農の特徴と進路
5、動機・目標・計画の重要性…高目標・低学力・短期間の三重苦を如何に克服するか
6、参考書・問題集と勉強法…「今日1日何やった?」の答えに未来が見える
7、予備校・塾・家庭教師のメリット…情報・ノウハウ・ペースメーカー・仲間
8、受験勉強の半分はメンタル・マネジメント…最初と直前の1~2か月がヤマ場
9、模試の活用法…駿台・河合塾・代ゼミの模試を受ける理由
10、夏期講習・冬期講習・直前講習は必要か…夏に基礎の総復習と苦手つぶしをする
11、最後にものを言うのは情報戦と運…最後まで最善を尽くす人には道がある
12、奨学金と教育ローンについて…毎月10~15万円くらいは奨学金で確保できる
13、不登校・高校中退者は高卒認定から…16歳の年度から受験できる万能資格
14、通信制大学という選択肢もある…総学費70万円の放送大学から慶應大学まで
15、サークル・ボランティア・留学キャリアを最大限に活用する…大学生活の充実
16、自立の三段階…精神的自立・経済的自立・社会的自立を見据えた現状認識の重要性
17、進学・就職・結婚という人生の三大選択…失敗や逆境からも学ぶ必要性


1、「学歴の道」か「実力の道」か…最終学歴主義という現実

【学歴の道と実力の道】
 「大学」に行くべきか、「専門学校」に行くべきか、悩むケースがあります。単純に言えば、「とりあえず行く」なら「大学」、「目的意識・職業意識が明確」なら「専門学校」となります。大学の最大のメリットは「学歴」です。日本社会が「学歴社会」であることは言うまでもなく、「最終学歴=大学」が「一生のパスポート」となっていることは事実です。ですから、「取り立てて何かやりたいことが明確ではない」という場合であれば、とりあえず大学に入って、4年間で「自分の本当にやりたいこと」「自分に向いていること」を見つける方が賢明です。業界によっては、「大卒は当たり前」という世界もあり、「大卒だからすごい」ということはまずありませんが、最低限、「大卒」という学歴が確保できることは魅力です。
 一方、専門学校は2~3年間で専門的知識・技術を身につけ、ある意味では「腕一本で勝負していく」世界です。自分の専門分野がはっきりしていて、職業意識もあり、「これで自分は勝負していくんだ」という実力志向、「手に職を持つ」という方向性なので、この場合は専門学校へ行った方が手っ取り早いということになります。初任給は大卒に比べて安いですが、その後は実力と腕で切り開いていくということになります。
例えば、「コンピュータが好きだから工学部に行きたい」という場合がありますが、よくよく聞いてみると、「2D(2次元・平面)か3D(3次元・立体)のCG(コンピュータ・グラフィック)デザイナーになりたい」とか「ネットを使って何か仕事をしたい」という希望だったりします。それであれば、わざわざ工学部へ行ってハードに関わる勉強をする必要はなく(大体どこの工学部でも電子・情報系は最も難関です)、専門学校で最先端の技術と知識を学んだ方がいいということになります。専門学校には求人もよく来ていますし(安いことが多いですが)、アルバイトでもう仕事を始めることもできます。大体、デザイナーですぐに食べていける人はほとんど皆無と言ってもいいので、たいていの専門学校では最低「プログラマー」になれる訓練をして、基本情報技術者試験を受けさせています。

【最終学歴主義の現実】
 日本という社会は「学歴社会」であることはよく知られています。考えてみれば、受験やバイト、就職といったあらゆる機会に、履歴書で「学歴」を示すよう求められますね。そこでは大体中学校卒業から記載するようになっていますが、果たして人事や採用担当者はこれを逐一チェックしているのでしょうか?答は「最終学歴」のみを厳しくチェックしているということです(そこしかよく理解できないとも言えます)。
 この「最終学歴」によってはなりたくてもなれない職業があるのも事実ですし、採用、初任給、人事配置、昇給、昇進といったあらゆる局面で差がつくのも避けられません。「大体、18歳頃の学力だけで一生が左右されるなんてどういうことだ!」というクレームが聞こえてくるところですが、社会の現実がそうなっていることを認めないわけにはいかないでしょう。
 では、「最終学歴」は具体的にどのように評価されるのでしょうか。基本的には「大卒」「短大・専門学校卒」「高卒」の「3つの階層」に分けるのが普通です。もちろん、これより上に「大学院卒」があり、これより下に「中卒」がありますが、圧倒的大多数はこの「3つの階層」に分類されると言えるでしょう。そうです、実は日本は「最終学歴」を基準にした「階層社会」になっているのです。欧米はもっと固定的な「階級社会」になっていますので、使っている言語や意識、生活様式も大きく異なり、交友や婚姻などに大きな制限が出てきますが、日本はそこまで行っていませんので、「階層社会」と言う方が適切でしょう。「階層」ですから、「階級」と違って、比較的移動は楽であり、努力して新たな「学歴」を得ていけば、上の階層に入っていくことが誰にでも開かれているとも言えるでしょう。
 これは明治維新以来、日本が封建社会の身分制システムを捨て、代わりに採用した社会形成システムなのです。これが近代化の推進という目的において、実にうまく機能したことは歴史が証明しています。「学歴社会」とは厳しい現実のようですが、一面では可能性のあるシステムでもあるのです。
 かつては「高校くらいは出ておかないと」というのが一般的な社会通念でした。現在は高校進学率が98%にまで達しているので、「高卒」は当然というのもうなずけるところです。ところが、「大学全入時代」到来を迎え、経営難から大学も淘汰される時代になってくると、「大学くらいは出ておかないと」という感覚が次第に普通になってくると思われます。
 実際、優秀な人は昔も今もやっぱり優秀なのですが(情報・ビジネス・教育・国際環境などから、昔よりもはるかに優秀な人材は多数出ています)、全般的な「大学生の学力低下」はデータ上も実証されており、分数・小数の計算も出来なかったり、英語の文法も分かっていない大学生が増えてしまっているのも事実です。つまり、「大学」「大卒」の実態及びその評価には「二極化」が起きつつあるということになるでしょう。  当たり前の話ですが、意外と知られていないのが、「ある仕事をしたくても、大学を出ていないと出来ない」という業界・職場が決して少なくないという事実です。これは別に「大卒だから素晴らしい」という人格的・人間的意味ではなく、その仕事の持っている要求条件・前提条件があるということです。別に大卒でも犯罪者・変質者はいっぱいおり、高卒でも成功者・人格者はいっぱいいますので、「学歴」と「人間性」とは全く別な話です。そうではなくて、ある仕事の持つ専門性・特殊性から「大卒要件」が客観的に出てくるということです。
 例えば、医者や薬剤師になりたい人なら、それぞれ大学医学部・薬学部に行くしかありません。そうしないと国家試験を受けることもできないのです(ちなみに薬学部を出ていても、国家試験に受かっていなければ、高卒並の時給で雇われることすらあります)。さらに新聞社・出版社・広告代理店などでも「大卒」が普通です。これは一定の知的レベル以上の人を相手にする以上、止むを得ないと言えるでしょう。これが入力・レイアウト・校正といった技術職分野になってくると、専門学校卒が増えてきます。あるいは弁護士・裁判官・公認会計士・税理士といった難関資格や教師などは大卒でなくてもなれますが、現実的には大卒以上がほとんどです。試験制度上、大学に行っている方が圧倒的に有利だからです。公務員も医療職も銀行も高卒以上でなることができますが、出世しやすさでは大卒の方がはるかに恵まれています。さらに絵画や音楽の勉強をするのであれば、専門学校でも十分できるのですが、美大・音大・芸大を出ていれば、専門家としての評価は格段に高くなります。これは技術力そのものよりも「市場評価」「格付け」と言ってもいいかもしれません。
 身分制に縛られた社会は実に悲惨な一面があります。「生まれ」で一生が決まってしまうのですから、努力しようにも報われず、努力する意欲すらそがれてしまいます。これは「永遠の昨日」が支配する「伝統主義社会」(昨日がそうだったから今日もこう、だから明日も明後日もこのまま変わらずずっと続いていくという社会)に他なりません。これに対して、どこでどの家にどういう立場で生まれようとも、努力すればその「学力」によって誰でも「学歴」を創出することが出来、その「学歴」が正当に評価されるとしたら、これを「平等社会」と言わずして何と言うでしょう。もちろん、経済的に裕福であれば、それだけ教育費をかけることが出来るので、「経済格差即教育格差」という批判も出てくるのですが、典型的な移民社会であるアメリカでは、移民1世達が死に物狂いで働いて生活基盤を作り、2世達に何とか高等教育を受けさせようと努力するケースが多く見受けられます。「自分の代では無理だから、子供の代で」というわけです。やはり、「学歴社会」の弊害(学歴絶対主義、学歴中心主義)もさることながら、「学歴評価が正当になされない社会」の弊害の方がはるかに大きいと考えるべきでしょう。「学歴」はうまく「活用」すべきものなのです。


2、大学受験の現状について…一般入試とAO入試はどこが違うのか

【大学全入時代について】
 「少子化」による「大学全入時代」が到来したと言われています。いわゆる「2007年問題」です。これは「18歳人口」の減少から、「大学志望者数」が「全大学の定員数」を下回ってしまうため、「選ばなければとりあえず大学には行ける」というものです。これと逆の状態だったのが「1992年」で、「全大学の定員数」に対して「大学志望者数」の3分の1が余ることとなり、大量の浪人が生まれることとなりました。当時は相当優秀な人でも合格できず、「1浪はヒトナミ(人並)」と普通に言われていたのです。これを「1992年問題」と呼ぶとすれば、わずか15年で何という様変わりでしょうか。当時の受験生からすれば、今の受験生は全く恵まれているとしか言えないでしょう。
 この「2007年問題」の影響は早々と下位大学から影響が出始め、定員割れの学部を抱える大学が増えてきて、「推薦入試では全員入れる」という大学も出ているほどです。その影響は次第に中堅大学に及び、何と、変化が起きるとしても2007年を過ぎてからだろうと思われていた上位大学まで変動が起きていることが確認されています。具体的には「以前なら入れないはずの受験生が六大学や関関同立といった上位大学に受かり始めている」という声が全国的に出てきたのです。もちろん勉強しないでも受かるはずはなく、受験生は一生懸命勉強しているわけですが、「以前よりもその努力が報われやすくなっている」ことは事実です。いわば「ブランド品のバーゲンセール」が起き始めているので、今は「大学受験しないとソン」と言えるかもしれません。

【AO入試・推薦入試と一般入試の違い】
 AO入試・推薦入試は面接・小論文が主体となります。AO入試は4月以降、オープンキャンパスという形で始まり、願書受付は8月以降です。推薦入試は9月以降に本格化し、10~11月にピークを迎えます。短大なら推薦入試が当たり前で、推薦全入を当然とする女子大もあります。授業料返金が可能になったので、推薦入試から「キープ」作りは始まるのです。
 一般入試は学科試験を主体とし、1月のセンター試験(国公立大学においては共通の1次試験となります。マークシート方式)、2月の私大一般入試(中堅大学まではマークシートが主流で、上位大学は記述式が主流となります)、2月末の国公立2次試験前期(記述式。センター試験の得点と合算で合否判定)、3月の国公立2次試験後期(記述式。センター試験の得点と合算で合否判定)と進んでいきます。したがって、一般入試に関しては、12月中にスケジュール(出願期間、試験日、発表日、学費納入期限の4つ)を確定させる必要があります。

【一般方式とセンター方式の違い】
 私立大学では一般方式だけでなく、センター試験の得点を利用したセンター方式を採用する所が多くあります。中堅大学までであれば、思いのほか合格が作れるので、センター試験は全員受けておくべきです。最初の試験でもあるので、場慣れにも使えるからです。

【AO入試・推薦入試の現実】
 中堅以下の大学では、併願している受験生がどんどんより上の大学に流出してしまうため、推薦入試でどんどん合格を出すケースがあります。推薦で受験する学生に「ウチは推薦では合格を全員に出しているよ」とはっきり言っている所もあり、遠隔地から通う学生に対して、1年次に交通費の半額15万円を支給すると申し出る所もあるほどです。中堅以下の大学では、少子化の中での学生獲得は死活問題と言ってよく、人物的に論外という特殊ケースを除けば(態度の横柄な受験生は実際いますので、誰でも彼でもというのは無理があります)、推薦枠で学生をどんどん確保するということは普通に行われています。  AO入試・推薦入試の準備としては、まずHPとパンフで大学のセールスポイントを知ることです。大学のホームページやパンフレットの頭には「その大学がウリにしている所」が前面に出てきます。これはAO入試・推薦入試等の面接では不可欠の情報源となります。また、大学によっては募集が思わしくなく、定員割れの可能性が出始めた時、急きょ追加募集をかけたりするので、時々ネットをチェックする必要があります。


3、国公立大学と私立大学の違いについて…センター試験とは何か

【国公立大学と私立大学の違い】
 国公立大学は年間学費50万円前後という学費の安さに特徴があります。その代わり、受験科目が英語、数学(ⅠA、ⅡB)国語(現代文、古文、漢文)、社会(文系は地歴・公民から2科目、理系は1科目)、理科(文系は基礎から2科目、理系は2科目)と5教科7~8科目となり、私立が3教科であるのに対し、質量共に負担が増えます(センターの死守ラインでも大ざっぱに言えば、私立中堅大学で70%、私立上位大学・国公立大学80%、東大・医学部90%が目安となります)。まさに「学費か、学力か」といった感じですが、この選択は医学部においてさらに先鋭化されます。私立大学医学部で最も安い慶応大でも年間360万円かかり、これは異常に安くて、普通は1,000万円が相場です。そのため、初年度約80万円、2年度以降は年間約50万円の国立大学医学部は6年間在籍しても、経済的負担が格段に違うため、今では地方国立大学医学部は東大に合格するレベルの学力が必要になりました。医師国家試験は旧司法試験(合格率数%)などとは違って合格率90%以上が普通なので、「入口」勝負(入ってしまえば勝ち。これに対して法学部は「出口」勝負となります)となります。また、従来は進学校の実績は東大に何人、京大に何人といった形で競われていましたが、今では東大・京大・医学部にそれぞれ何人ずつ合格したかが問われ、三極構造化していると言われます。

【大学の実情・実像について】
 大学の実情・実像は「インサイダー情報」で知るものです。ガイドブックやネットでも分からないのが、中にいる人の持っている情報です。直接であれ、間接であれ、「生きた内部情報」を入手することは、大学の実情・実像を知る上で不可欠です。ある大学を考えた時、その内情を知る人が友人・知人・本の著者であれ、何人かすぐ浮かぶという状態が望ましいと言えるでしょう。

【東一早慶】
 東大、一橋大、早稲田大、慶応大。関東圏におけるいわゆるSランク。就職において、最も有利な立場に立ちます(理系ならこれに東工大が加わります)。東大は「官僚第一派閥」で、この世界ではほぼ無敵です。一橋大と慶応大は実業界に強く、一橋は「大企業の管理職養成機関」と呼ばれ、商社、金融関係などの高給企業に強く、慶応は「就職に強い大学」として有名で、とりわけ「三田会」による卒業生人脈では他大学を圧倒し、「寄付金を募れば唯一目標額に達する大学」と言われています。卒業して何年か後に同窓会を開けば、各業界で中堅リーダーとなった者達が集まるので、同窓会がそのまま「異業種懇親会」となってしまうのです。早稲田は個が強く、通常群れないのが普通です(群れる早稲田、一人で生きていく慶応は想像しづらいですね)。なお、慶応大は「親」がすごかったりします。

【六大学】
 東大、早稲田大、慶応大、立教大、明治大、法政大。S+Aランク。これに「上位ミッション」(上智大、ICU)や「上位女子大」(お茶の水大、東京女子大、津田塾大)が加わります。早稲田大(国際教養学部で英語による授業と1年間の海外留学必修化を打ち出して話題を呼んでいます)、明治大(第二早稲田とも言われていましたが、新校舎の整備などを進めて環境を一新しました)、法政大(大学改革に力を入れており、「東の法政、西の立命」と呼ばれるほど高い評価を得ています)はバンカラ・体育会の気風があります。これに対して、慶応大、立教大はセンスのいい系列ですが、国際性は上智大、ICUの方がはるかにあるでしょう。上智は帰国子女が多く、使える英語を身に付けるには一番の環境と言われ、「食堂の共通語は英語」とささやかれた学部(旧比較文化学部、現国際教養学部)もあります。ICUはアメリカの学校の雰囲気があり、理想主義的で「高校4年生~」といった趣きがあります。

【G-MARCH】
 学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大。ここまでが「ブランド大学」とされます。ここに「ブランド女子大」(聖心女子大、フェリス女学院大など)を加えてもよいでしょう。学習院大は特に改革努力もしていないのに、就職などで見られるように不思議と社会評価の高い大学です。立教大は常に青山学院大を意識していて、対抗的に新設学部を作ったりするほどです。なお、このランクになってくると、青山の国際政経・英文・心理、中央の法・商の会計というように、強みや特徴のある看板学部・学科が目立ってきます。

【日東駒専】
 日本大、東洋大、駒澤大、専修大。中堅第一グループ。日大は法律系に強みがあり、中小企業の社長を多く輩出しています。東洋大は社会学部が看板で、社会人推薦や工学部10月入試など、穴場情報も多いと言えます。専修大は税務系に資格に強いでしょう。

【大東亜帝国】
 大東文化大、東海大、亜細亜大、帝京大、国学院大、国士館大。中堅第二グループ。ここまでの中堅グループはラグビーや駅伝などで全国的な知名度があり、名前と実力がそこそこ知られていると言えます。

【就活について】
 大学3年生になると、誰しも就職活動を開始します。今はネットでエントリーを出すことも多くなってきましたが、学生の間でも「就活の二極化」が進行していると言われています。これは内定、内々定が取れる人には何社でも集まってくる一方、取れない人は何十社アプローチしても全然取れないというものです。もちろん、就職率はその時の景気動向に多分に左右されるので、優秀でも「就職氷河期」にぶつかってしまう人もいれば、さほどでもなくても「売り手市場」に乗っかれる人が出てくるのは仕方のないことだと言えるでしょう。
 ただ一般的傾向として言えることは、上位大学の場合、個人の資質以上に「大学ブランド」を買ってくれるケースが多くなり、中堅大学以下では「大学名」を当てにせず、個人のコミュニケーション能力、成功体験、達成実績といったものが大きく問われてくるということです(意外にも「資格」はそれほど見られていません)。今は「大学名不問」をウリにして求人している大企業も増えてきましたが、実はこうすると逆に上位大学の採用が増えてくるという現象すら起きています。また、「学歴で選んでどこが悪いのか」とはっきり言い切る人事担当者もいます。企業としても優秀な人材を確保するのは死活問題ですから、「大学ブランド」の力は決して廃れていないと言えるでしょう。
 実際、企業で採用面接をするといっても、数万人単位で応募する中での面接ですから、せいぜい3~4回で評価しなければならないことになり、4年前の学力指標でしかないといっても、「大学名」はやはり大きな判断材料となっています。業界による差はありますが、関東なら東大・一橋・早稲田・慶応は一般に「東一早慶」と呼ばれてSランクに入ります。企業側からすれば、ここの学生が応募すれば当然取りたい気持ちになるわけです。これに続くのが他の六大学(立教・明治・法政)や上智・ICU・青学といった上位ミッション系、さらに中央・学習院といった六大学に準ずる大学群で、これをAランクとすれば、いい学生がいたら取りたいということになります。大体、業界最王手にはSランクの学生が集中しやすく、2番手以降にはAランクが増えてきます。このラインを通常「G-MARCH」(明治・青学・立教・中央・法政)と呼び、「大学ブランド」のボーダー・ラインと化してきています。
 では「G-MARCH」以上の大学でないと意味がないのか、という疑問が出てきますが、そういうことではなくて、これ以上なら個人よりも「大学ブランド」を評価してくれることが多くなり(つまり、大学や先輩達の功績にあやかるということでしょう)、これ以下なら「個人の資質」(つまり、大学をあまり当てにしないで、自分を磨いていこうということになります)を前面に出していく必要があるということです。社会的評価やポジションの確認は、現状認識として目をつぶるわけにはいかないのです。

【学歴と学力について】
 「たかが学歴、されど学歴」といったところですが、所詮、「学力」という「人間性」や「能力」のほんの一面だけで決まってしまった「学歴」にそれほど意味があるのか、という疑問は付いて回ると思います。しかしながら、上位大学に行けば行くほど、教員のみならず、学生にも質の高い人が増えてきて、その視野や経験、知識、行動に刺激を受けることが多くなってきます。もちろん、上位だろうが下位だろうが、立派な人物はどこでもいるのですが、その絶対数が増えてくるのです。これを「人的環境」としてとらえれば、やはり上位大学の方が「交友関係」「人脈形成」といった点で恵まれてくるのは事実です。例えば、慶応の看板学部の大学院のゼミまでいくと、そこに参加しているメンバーは男女共に優秀な人材がそろっています。おそらく企業に入れば、5年後、10年後には中堅リーダーとしてその業界を引っ張っていく人材でしょうし、起業して経営者になる人も少なくないでしょう。そうすると、卒業後に開かれる同窓会(慶応は特に結束の固い大学として知られています。これに対して、早稲田は一匹狼的な人が多いですね。あまり群れません)はそのまま「異業種交歓会」「情報交換の場」となってしまうわけです。
 実は「学力」といっても「人間性」や「能力」の一部である以上、それらは決して無関係ではなく、ちゃんとつながっているのです。そして、この「学力」がないと「学歴」を作れないわけですから(推薦入試で合格し、受験競争を通過せずに上位大学に入った学生の中にはコンプレックスを引きずっている人もいます)、「学力」をきちんとつけることは避けて通れないテーマであると言えるでしょう。つまり、「結果」としての「学歴」ですが、「原因」としての「学力」がもっと肝心なのです。


4、文系学部と理系学部の違いについて…法経文教社と医理工薬獣農の特徴と進路

【学部選択と大学選択の違い】
 「将来の仕事」か「興味・関心」で学部を選んだ上で、「学力」によって大学を選択します。「自分は何がやりたいのか」という問いかけは重要ですが、これはライフワークにもなるテーマでもあるので、下手すると一生中途半端なままで「自分探しの旅」をし続けることになりかねません。まず「自分は何ができるか」「何だったらお金を稼げるか」を考えた上で、それがまだ不明確なら「大学4年間でいろいろ試す中で考えよう」という立場に立って、「大学で学ぶとしたら興味・関心のある分野は何か」と考えます。

【学部を決めてから大学を決める】
 まずガイドブックなどで情報を集め、添付されている無料資料請求ハガキなどでパンフを送ってもらうなどして、判断材料を増やす必要があります。基本的に学部については、将来の職業につながるもの、あるいはそれが明確でなければ自分の興味・関心がある分野で選ぶことになります。文系の代表的学部は法学部・経済学部・文学部・教育学部・社会学部で、理系の代表的学部は医学部・理学部・工学部・歯学部・薬学部・獣医学部・農学部などがあります。他に家政学部・芸術学部・体育学部もあります。
 学部が決まると、今度は自分の学力によって大学を選ぶことになります。そのためには模試による客観的なデータが必要になります。よく「学部→大学」ではなく、「大学→学部」で考えて、「東大ならどこでも」「早稲田ならどこでも」という人がいますが(昔は実に多くいました)、入ってから4年間、専門の勉強をすることを考えると、関心の無い学部に入ると悲劇としか言いようがありません。

【専門家を目指すか、教養として学ぶかで学部選択が変わる】
 例えば、心理学を専門に研究するならば、心理学科に進む以外ありませんが、ここで難点はその数が少なく、競争率が高いことです。5~6倍はまず普通、10倍を超えるケースも珍しくありません。しかも、心理学の専門家としてやっていこうとするなら、大学院に行くことも考えるべきですし、ひいては留学も考えた方がいいでしょう。心理学の本場はどう見てもアメリカで、ユング心理学を専門にするならスイスを選ぶケースもあります。アメリカでは心理学の必要性は社会的に認知されており、重職にある人が重大な決断をする前にカウンセリングを受けるということも普通にあります(日本ではまだ逆に不安を招くことにもなりかねません)。心理学を学んだというキャリアを生かした仕事も豊富にあります。
 したがって、心理学を専門に勉強し、将来それで食べていくとなれば、相当な決意をし、勉強して準備しなければならないことを自覚しておくべきです。逆に少し興味がある程度なら、専門にするのではなく、社会・福祉系学部、文学部、教育学部などの関連諸学部でいくらでも学べるので(教養科目としてなら基本的にどの学部でも学ぶことは可能でしょう)、もっと入りやすい学部を選んだ方が賢明です。これは他の分野にも当てはまることです。

【法学部について】
 司法試験志望者とそれに準ずる資格志向組、公務員試験・一般就職志向組に分かれます。司法試験志望者であれば、法科大学院(ロースクール)設置大学を目指すのが何かと便利でしょう。また、たいてい司法試験志望者はそれに準ずる資格試験を受けたりするので、法務関連の資格について知っておくとよいでしょう。ちなみ、法学部で学ぶ内容は公務員試験受験者には有利に作用しますし、就職でも法学部は「最もつぶしが利く」という評価は昔も今も余り変わりません。
①法学検定・ビジネス実務法務検定
 法学検定は法律系資格としては一番有名で、合格すれば法律学について相当の能力があると社会的に認められ、就職等に有利になります。アドバンスト(上級)コース(法学部修了程度)、スタンダード(中級)コース(法学部3年程度)、ベーシック(基礎)コース(法学部2年程度)、法科大学院既習者試験(法学既習者試験)の4つがあります。ビジネス実務法務検定は1~3級に分かれていて、法学検定より実務的な内容になっており、法務部のみならず、全ての分野のビジネスマンが受検しておいた方がよいと言われています。特に憲法・民法の知識・理解は法務系資格のみならず、公務員試験などでも必須です。
②司法試験
   これに合格しないと、日本における国家資格の最高峰「法曹三者」(裁判官・検察官・弁護士)になれません。アメリカでは法学・経営学・医学の分野では大学院で高等専門教育を行なうシステムになっており、日本でも司法試験を受験するためには、法科大学院(ロースクール)課程を修了、または司法試験予備試験の合格のいずれかが必須条件となりました。法科大学院を終了した者は、その後5年度間に3回の範囲で司法試験を受験することができますが、受験資格が消滅した場合、法科大学院を再び修了するか、予備試験に合格すれば、再び受験することができます。
③司法書士
 裁判所や法務省などに提出する申請書類などの代行を独占業務とし、仕事の8割は不動産登記に関するものですが、個人訴訟の背後には必ず司法書士がいるとされ、弁護士の少ない地方では「街の弁護士」として様々な形で活躍する人が多いようです。試験科目は、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、不動産登記法、商業登記法、供託法、司法書士法で、地道で根気さえあればいつかは合格できる試験です。したがって、法律に興味はあるが、とても司法試験は自信が無いという人に向いています。
④行政書士
 役所・官公庁に提出する書類作成の代行を独占業務としています。「街の法律家」どころか弁護士もどき、トラブルシューターとしての役割も担うことができます。
⑤弁理士
 特許、実用新案、意匠(デザイン)、商標などの工業所有権に関して、調査・鑑定から特許庁への出願・申請を代行し、「理系の弁護士資格」とも言われています。こうした工業所有権の出願数に対し、弁理士は絶対的に不足しているとされます。

【経済学部・経営学部・商学部について】
 経済学部は経済学という学問をやる所で、文系の中では数学を使う学部です。経営学部は基本的に経営サイドの勉強をする所で、商学部はビジネス全般について学ぶ所です。日本の大学の場合、この3者に余り明確な区別はありません。ただ経済学部ではミクロ経済学、マクロ経済学、国際経済、金融論などが主要分野となり、経営学部ではマーケティング(市場調査)、アカウンティング(会計)、マネジメント(経営管理)といった分野が主要となり、商学部では商法から企業・ビジネス全般について扱うことになります。いずれにしても簿記の知識があると便利です。
①簿記検定
 会計・税務系資格の入り口は簿記検定です。日商簿記検定1級または全経(全国経理学校)簿記能力検定上級の合格がスタートとなり、会計・税務系ではこれが事実上のエントリー・レベルとして広く認められています。
②公認会計士
 経理・会計分野の最高峰の資格。業務は会計監査、財務、経理などで多岐にわたります。かつてはコンサルティング業務が花形でした。試験のうち短答式は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法について行われ、総点数の70%が合格基準です。論文式は、会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法および経営学・経済学、民法、統計学の中から1科目について行われ、52%の得点比率を基準として、公認会計士、監査審査会が相当と認めた得点比率が会計基準となります。
③税理士
 試験科目は簿記論と財務諸表論が必修、法人税か所得税のいずれか選択必修、相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、事業税または住民税、国民資産税および選択必修科目として選択しなかった科目のうちいずれか2科目を選択します。科目合格制があるので、合格した科目はずっと有効であるため、働きながら受験していって5科目合格を達成していく人も多くいます。
④不動産鑑定士
不動産の鑑定評価が独占業務であり、短答式試験は不動産に関する行政法規、不動産の鑑定評価に関する理論について行われ、論文試験は民法、会計学、経済学、不動産の鑑定評価に関する理論(演習含む)からの出題となります。
⑤中小企業診断士
 国、地方自治体、商工会議所の実施する中小企業への経営支援を行う専門家としての側面と、民間のコンサルタントとしての2つの側面を持ちます。登録者の7割以上は独立開業は行わず、企業内診断士になっています。
⑥社会保険労務士
 労働社会保険諸法令により行政機関への提出が義務付けられている帳簿や書類の作成、提出代行、相談、指導を行う労務のエキスパートです。
⑦米国公認会計士(CPA)
 国際会計基準の導入により注目を集めています。筆記試験は企業財務会計及び公会計、法規、ビジネス環境及び概念、監査及び検証の4科目で、100点満点中75点を取れば合格です。まず受験する州を決め、その州での受験資格を取得し、筆記試験を受けることになります。
⑧米国税理士(EA)
 役割は日本の税理士と一緒で、税務申告書の作成から税務コンサルティングまで、米国税法の専門家として活躍できます。米国公認会計士と違って受験資格がなく、東京でも受験が可能です。日本企業の海外進出や米国企業の対日進出、在米日本人の納税申告や在日米国人の納税申告などについての業務や、二国間税務コンサルティングなどの業務が期待されています。
⑨ファイナンシャル・プランナー(AFP・CFP)
 個人のライフプランに応じた資産設計をアドバイスする専門資格。 国家資格としては1級・2級・3級ファイナンシャル・プランニング技能士があり、2級はAFP(基礎資格)試験を兼ねています。合格者はAFP認定研修を修了し、日本FP協会に入会することで、AFPになることができます。1級はCFP(上級資格)試験を兼ねておらず、国際的に通用するCFPを取得するためにはCFP試験に合格し、CFPでエントリー研修を修了し、3年以上の実務経験をしてCFPになることができます。AFP・CFPいずれも継続教育が義務付けられ、資格更新要件となっています。
⑩MBA(経営管理学修士)
 ビジネスリーダーに必要な学際的スキルを身につけるもの。アメリカの経営大学院(ビジネススクール)トップ20の優位は揺ぎなく、できればこれらのいずれかを卒業することを目指したいものです。

【教育学部について】
 先生になりたい人は教育学部ということになりますが、どの学部でも教職単位を取れば、教員免許は取れます。小学校・中学校・高等学校・養護学校など校種がいろいろありますが、取れるものは取っておきたいところです。また、教育学部に行っても教員にならないケースも増えてきていますので、その場合、何かウリを作ることも大切になってきます。
①教員免許
 大学で教職単位を揃え、教育実習に行けば取得できます。卒業後に改めて取ろうとすると、手間がかかるので、取れる時に取っておきましょう。実際に教員になるには各都道府県で教員採用試験を受験しなければなりません。
②司書
 公立図書館等で図書資料の選択・購入、図書案内や指導などを行います。教員免許同様、単位を揃えれば取得できますが、大学・学部の設定によるので、確認が必要です。また、最近では学校図書館司書教諭のニーズも高まってきました。
③学芸員
博物館・美術館等で資料の収集、保管、調査研究などを行います。単位取得によって資格が発生しますが、実務経験からの道もあります。

【文学部について】
 「外国語を学びたい」という人は文学部になりますが、その場合、語学・コミュニケーション系がやりたいのか、文学がやりたいのかで2つに分かれてきます。語学・コミュニケーション系が希望の人であれば、留学システムを持っている大学を選ぶのがいいでしょう。例えばアメリカに留学する場合、銀行口座を開くにも車の免許を取るにもソーシャル・セキュリティー・ナンバーを取得しなければなりませんし、そのためには電話でアポイントを取って最低2回は出かけていかなければならないので、最初から何から何まで自分で背負い込むのは大変なことです。1回目の留学は安全第一で、現地慣れすることを優先とし、多少高くても大学のシステムを利用する方が無難でしょう。2回目以降は自分でビザ申請から全てやって、安く上げるということも考えられます。また、大学によっては単位互換制度で留学先での勉強が単位認定されるので、これはこれで便利です。
①英検(実用英語検定)
 履歴書に書けるのは2級以上、英語力としての評価対象は準1級以上でしょう。
②国連英検
 特A級からE級まで6ランクに分かれており、上級レベルになると国際関係・国際政治などの問題意識や判断力も問われます。
③TOEIC
 国際コミュニケーション・ツールとしての英語力を10~990点のスコアで検定。リスニング100問、リーディング100問。会社でも昇進条件としてこれを義務付ける所も出始め、大学でも対策講座を設ける所は多くあります。ビジネス英語としての評価は英検以上。
④TOEFL
 アメリカの大学・大学院に留学する際に、授業についていけるかどうかを判定することを目的としたテスト。アメリカ留学の第一関門であり、現在はiBT(コンピュータ・テスト)中心です。

【社会学部について】
 社会と名のつくものは全てこの学部に含まれます。観光・メディア・国際関係から福祉系・心理学系の勉強も入ります。例えば、「心理学をやりたいけど、心理学部・学科は競争率が高くて難しい」という場合、関連学部へ行って心理学を学ぶという道もあります。臨床心理士を目指している場合でも、最終的には指定大学院に入ることが問題なので、とりあえず大学4年は行ける所へ行って心理学を学び、4年間の勉強で指定大学院を目指すという次善の策も出てきます。さらに「広告代理店へ行きたい」という希望であれば、社会学部へ入って社会心理学や社会学、統計学など一通り学び、いろいろな経験を積んでコンテンツ(中身)作りに徹し、できれば在学中からバイトで入って仕事を覚えながら、顔と人脈を広げるというのが常道です。
 ちなみに心理学は文字通り、「心」の学問です。人文系の学問ですが、唯一自然科学の方法が導入され、成功している分野で、「科学的」であるということが大きな特徴となっています。心理学を専門に研究するならば、心理学科に進む以外ありませんが、ここでの難点はその数が少なく、競争率が高いことです。5~6倍はまず普通、10倍を超えるケースも珍しくありません。しかも、心理学の専門家としてやっていこうとするなら、大学院に行くことも考えるべきですし、ひいては留学ということも考えられます。
 したがって、心理学を専門に勉強し、将来それで食べていくとなれば、相当な決意をし、勉強して準備しなければならないことを自覚しておくべきです。逆に少し興味がある程度なら、専門にするのではなくもっと入りやすい学部を選んだ方が賢明です。

①国家公務員
 「心理」という試験区分があります。法務省で矯正教育(少年院など)に携わったり、厚生労働省・警視庁に入る場合もあります。

②教師
 教育原理、教育心理学、教育史、教育法規、一般教養、専門試験からなります。教育心理学は必修であり、教育現場はカウンセリングの基礎知識・技術がないと難しい所です。

③認定心理士
 日本心理学会が認定する、心理学の基礎資格。心理系の大学を卒業すれば、申請すれば取れます。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室などがあります。

④産業カウンセラー
 日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格で、誰でも受験でき、基礎的、入門的資格として知名度が高いと言えます。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室などがあります。

⑤臨床心理士
 日本臨床心理士資格認定協会の認定資格。大学の心理学部を卒業し、第1種指定大学院で心理学を学び、修士の学位を取得した上で試験を受けるか、第2種指定大学院で心理学を学び、修士の学位を取得した上で、心理臨床現場で1年以上の経験を積んだ後、試験を受けることになります。職場としては企業内相談室、民間相談室、学生相談室、スクールカウンセラー、精神病院・クリニック、児童相談所、警察・家庭裁判所・少年院などがあります。

⑥社会福祉士
 福祉系の4年制大学で所定の課程を修了するなどして受験資格を得て、社会福祉士国家試験に合格すれば取得できます。社会福祉協議会、社会福祉事務所、児童福祉関係施設、障害者福祉関係施設、老人福祉関係施設、介護老人保健施設などで働くことになります。

⑦介護福祉士
 高齢者や認知症など日常生活が困難な人達に対して、入浴、食事、排泄などの介護を行う仕事で、介護福祉士国家試験に合格すれば取得できます。近い職業に「ホームヘルパー」がありますが、介護福祉士は国家資格であるため、就職活動や給料の面で有利になることが多いと言えます。

【医学部・歯学部について】
 医者になるなら医学部です。医師国家試験の合格率は非常に高いので、難関試験である医学部受験がカギとなります。いわゆる「入口勝負」です。この点、ロースクールに行って、司法試験に合格しないといけない法学部-弁護士の道は「出口勝負」です。医学部受験は少子化時代にあっても人気が高く、特に国立大学医学部の場合、1年次は授業料約80万円ですが、その後は1年間で約50万円になるので、6年間通っても約350万円の学費となるため、私立大学医学部で最も安い慶應大学医学部が1年間で約350万円であるのに対し、1年分の学費で済んでしまうという現実があります。このため、地方国立大学医学部では学力的には東大合格レベル(理Ⅲを除く)が必要になってきているのです。私立大学医学部は国立大学に比べて科目も少ないのですが、高得点勝負になりやすく、加えて6年間で2,000万~4,000万円ともなる高学費の負担がネックになります。まさに「学力を取るか、学費を取るか」という究極の選択を迫られるのです。

①医師
 医科大学や大学の医学部(6年間)を修了して、医師国家試験を受験し、医師免許を取った後に、2年以上臨床研修医として働くことが義務づけられています。基本的に「技術職」「職人の道」なので、大学2年次には得手・不得手、向き・不向きが自他共に明らかになるようです。最終的には大学病院に残る(研究・教育)か、勤務医(公立・私立病院)となるか、開業医となるか、の3つの進路になりますが、「技術を極める道」を行くのか、「経営の道」に行くのか、を考えておく必要があります。

②歯科医師
 医学部が学力的・学費的に難しい場合、歯学部を目指すケースが多々見られます。歯学部(6年制)を修了し、歯科医師国家試験に合格すれば歯科医師になれます。一般的に開業した場合、商圏は半径500メートル以内とされます。

【理工学部について】
 理学部が理論研究、工学部が応用技術研究と位置づけたらよいでしょう。
 理学部は数学系・物理系・化学系・生物系に分かれ、研究者の道を行くなら大学院へ行くべきですが、ポスト・ドクターの問題があるので、マスターコース(修士課程)までにしておくのか、ドクターコース(博士課程)まで行くのかはよく考える必要があります。また、研究職と言っても、大学に残る場合、公務員になって科学技術庁などに行く場合、一般企業の研究所に入る場合などがあります。
 工学部では電子・情報系(専門学校がソフト主体なら、工学部はハード主体と考えたらよいでしょう)が最難関です。建築・土木も人気があります。合成化学・応用化学なら比較的文系に近いと言えます。

【薬学部について】
 薬剤師になるための学部なので、国家試験を目指して当然ですが、最近では製薬会社でもドクターを少しずつ取り始めていますので、さらに大学院で研究を続けている人も増えています。博士号は薬学博士が最も取りやすいとも言われています。基本的に「薬剤師の免許を持っていれば食いっぱぐれはない」とも言えるので、女性に人気です。

①薬剤師
 薬学部(6年間)を卒業して薬剤師国家試験に合格すれば免許が与えられます。逆に薬学部を卒業しても、国家試験に合格していなければ、パートで薬局で働く場合でも高卒者と同じ扱いを受けたりします。病院、薬局、ドラッグストア

②臨床検査技師
 薬学系学部で必要な単位をそろえて臨床検査技師国家試験に合格すればなれます。医療は検査が始まるので重要な業務ですが、医師や看護師と違って負荷が少ないので、女性に人気であり、一生続ける人が多い仕事です。ただ、薬学部はあくまでも薬剤師国家試験合格を目指しているので、大学ではあまり勧められないでしょう。

【看護・医療系学部について】
 最近は医療スタッフが多様化・専門化し、需要が増大してきているので、学力的に医学部を目指せないとしても、看護師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師といった医療スタッフを目指す道があります。これらは専門学校でも学科試験・面接・小論文が課せられるので、準備が必要です。

①看護師
 女性が「手に職を」と考えた場合に、真っ先に候補に上がる職業です。夜勤・三交代制などがあってキツイ面がある一方、月給30万円に到達するのが最も速いとされます。中卒でも准看護師になれますが、高卒以上の正看護師を目指すべきです。

②保健師
 看護大学・大学院で必要単位を取り、保健師国家試験に合格すればなれますが、看護師国家試験に合格している必要があります。保健師が働く主な場所は、保健所や市区町村役場・保健センター、企業、病院、学校の保健室などです。

③助産師
 看護大学・大学院で必要単位を取り、助産師国家試験に合格すればなれますが、看護師国家試験に合格している必要があります。女性しか取得することができません。

④理学療法士
 機能回復のためのリハビリテーションを行う国家資格で、医療・福祉分野をはじめ、健康増進、スポーツ医学、スポーツトレーナーなどの分野にも活躍の場が広がっています。

⑤作業療法士
 社会適応に向けた心と身体のリハビリテーションを行う国家資格で、一般病院・総合病院、リハビリテーション病院、精神科病院、老人保健施設、障害者福祉施設、児童養護施設などが主な働き場所です。

⑥診療放射線技師
 病院・診療所などの医療機関において放射線を用いた検査・治療を業務とする国家資格です。レントゲンやMRI、CTスキャンなどの機器を使うので、予防医学において重要視される医療職ですが、国家試験合格率が他の医療職に比べて低いのが難点です。

【獣医学部について】
 かつて『動物のお医者さん』で北海道大学獣医学部がブレークしましたが、元々全国的に数が少ないので、競争率が高いのが難点です。獣医師国家試験に合格して獣医師免許が取れます。関連する職種として獣看護士などがあります。

①臨床獣医師
 動物病院などで小動物を診たり、畜産農家を対象に産業動物を診たりします。

②公務員獣医師
 検疫所・動物検疫所・動物園・水族館などに勤務します。

【農学部について】
 食品工学やいわゆるバイオ系学科はたいていここに含まれます。やはり、できれば大学院まで目指したいところです。農学系は学問領域が広いため、就職先も幅広く、官公庁やメーカー、商社のほか、一見農学と関係のなさそうな流通や金融、保険などにも及んでいます。

【家政系学部について】
 被服や栄養など生活科学を学ぶところで、中学・高校の家庭科の教員免許を取ることが可能です。

①栄養士
 大学・短大・専門学校の栄養士養成課程などを修了すれば栄養士にすぐなることができます。

②管理栄養士
 大学の管理栄養士養成課程を修了するなどして受験資格を得て、管理栄養士国家試験に合格すれば取得することができます。食育や食事療法など栄養学に対する意識は年々高まっており、就職先として一番多いのは病院や福祉施設ですが、企業、行政施設、保育園など、管理栄養士の活躍の場は幅広くなっています。最近は病院や福祉施設へ給食を提供する給食会社への就職も増えています。

③中学・高校家庭科教員
 家庭科教員免許を取得の上、地方自治体などの教員採用試験や私立学校の採用試験を受けて合格する必要があります。

【芸術系部について】
 音大・美大があり、さらにその上に芸大がそびえ立っています。いずれも職業として、プロとしてやっていける人は限られており、中学・高校の先生や大学教員になる場合を除けば、一般就職をすることになります。その中でもデザイン系は比較的恵まれているでしょう。音大卒であれば、ピアノの先生として教える人も多くいます。

【体育系学部について】
 中学・高校の体育の先生になるのが一番メジャーな道ですが、スポーツ・インストラクターやトレーナーになるケースもあります。実際には一般就職が一番多いと言えるでしょう。


5、動機・目標・計画の重要性…高目標・低学力・短期間の三重苦を如何に克服するか

【どうせやるなら「出来る!」と思ってやる】
 漠然と「行けたらいいな」「受かったらいいな」と考える人は多いですが、難しい試験になるほど「犠牲」(時間、費用、労力など)が大きくなり、「そこまで犠牲を払ってでもやる価値・必要性・必然性がある」という「動機」(自分はどうしてもこれをやり遂げなければならないという意味・意義を「ミッション」とか「ビッグ・ホワイ」と言う)が明確でないと、最後まで続きません。特に半年、1年、2年と長丁場になるにつれ、この傾向は顕著です。「動機」が時間と共に結果するというのが「成功原則」です。
 また、成功者で「潜在意識にまいた種が時間と共に結実する」という法則を活用していない人はいません。どうせ勉強をするなら、「自分は勉強が出来るようになる。絶対得意になれる!」という種をまいてやるべきです。これには元手ゼロで済みます。間違っても「自分は勉強が苦手だ、何年やっても出来なかった、果たしてこれから何とかなるだろうか?」という諦め・不安の種や、「できない、ムリ、やっぱりダメ」といった負の安心感(事前に防御線を引いて、ダメだった時のショックを和らげようとする)の種をまいてはいけません。それらも時間と共に結実するからです(潜在意識は善悪を選びません。善悪に関わるのはもっと根底の「良心」です)。そして、「種」の「結実」を強化するのが「ノートに書くこと」です(「カタチ化する」「表現する」ということです)。脳科学的にはこの作業によって、脳が検索エンジンのように始動し、「必要な情報」を集めてくると説明されます。したがって、「目標」「計画」は紙に書け、ノートに書けということになります(何度も修正しながらです)。

【やるべき「参考書」「問題集」は決まっている】
 基本的に「目標」「今の自分のレベル」「期間」の3つの要素で、「何をどのようにすべきか」は自ずと決まってきます。目標が高くても、今の自分のレベルが高かったり、期間が長ければ特に問題はないわけですが、一番問題となるのは「目標は高い」「今の自分のレベルは低い」「期間は短い」という三拍子がそろった時です。この時に必要になってくるのは「体験談・成功談に基づく参考書・問題集の選択」と「ノルマの具体化・細分化」です。東大を目指す人、医学部を目指す人、G-MARCH以上を目指す人とそれぞれですが、難しい試験ほど、それに成功した人の体験談が貴重なデータとなり、成功者の使った参考書・問題集の中から自分に合ったものを取捨選択していく必要があるのです。

【3~4校受験は少なすぎ、10校以上は受けすぎ、5~6校は受けるべし】
 基本的に自分の実力よりは上の目標校(これが無いと学力は伸びません)を2~3校、同レベル校を2~3校、すべり止め(少々調子が悪くても受かるレベル)を2~3校、設定し、少なくとも5~6校、できれば7~8校受験して、合格した中から選んでいくという段取りがベストです。特に受験校が少ないことから「いきなり本命」になるというスケジュールは絶対に避けたいところです。といっても逆に10校以上受けると、今度はスケジュールに振り回されてしまいます。

【目標校を持たないと学力は伸びない】
 不思議なもので、今の自分以上の目標を持たないと、学力の伸びは鈍ります。これは推薦入試で合格が出て、キープ校ができると明確になるところです。欲を出してさらに上狙いをしていけばいいわけですが、現状に甘んじてなかなかハングリーになりきれず、そのまま受験を終えてしまうケースも出てきます。基本的スタンスとしては「精一杯頑張って、できるだけ上の大学へ行く」というがベストです。大学は学力で入学が決まるのですが、学力はその人の意識・視野・思考・志向などと密接に結びついているので、上の大学ほど質の高い「人的環境」に恵まれるというのは事実です。もちろん、上位校でも遊んでいる人は遊んでいますし、有名でない大学であっても頑張る実力派は必ずいます。ただ、上位校には相対的に質の高い人間が集まりやすいということは否定できないでしょう。

【スベリ止めは倍率と合格最低点で探す】
 通常は偏差値で大学のレベルを見ますが、「穴場」は倍率と合格最低点で見ます。通常、競争率が3倍を超えたら本格的勝負、2倍を割ったら狙い目です。1.4倍だの、1.1倍だのといった所も実は結構あるのです。合格最低点も通常は6割以上ですが、5割を切ったら狙い目です。4割前後(これは高認の合格ラインと一緒です)の所も結構あります。


6、参考書・問題集と勉強法…「今日1日何やった?」の答えに未来が見える

【「参考書」(知識)→「問題集」(技術)→「模試」(経験)で好循環を作る】
 単語帳も参考書も問題集も漠然とこなすのではなく、「1日のノルマ」を明確にしなければなりません。これには、いつまでに終えるかという長期目標から因数分解して、1ヶ月、1週間、1日のノルマを算出し、長期目標⇔中期目標⇔短期目標を連動させた上で、「受かるかどうかは今日1日のノルマを達成できるかどうかと同じこと」という自覚の下に「妥協なき戦い」を積み重ねていくことになります。したがって、「1日のノルマ」と言っても、相当ハードな設定にするのではなく、少々疲れていても、眠くても、「これぐらいなら出来るだろう」ぐらいの「死守ライン」として設定すべきです。実は難関試験を突破する人であっても、1日の勉強を比較すれば、それほど大それたことをしているわけではありません。ただ、「ほんのわずかな違い」の積み重ねが、1週間後、1ヵ月後、半年後、1年後には巨大な差として現実化するだけなのです。

【参考書の使い方】
1回目=単元のテーマを把握し、基礎事項の確認のみ。
2回目=基礎事項の確認+練習問題
3回目=基礎事項の確認+応用問題・入試問題まで。
ポイントは「1回のハードル」を如何に下げて、「反復回数」を多くするかです。「丁寧な1回」よりも「いい加減な10回」の方がはるかに知識の歩留まりがよく、何よりいい加減でもとにかく1回通せば「達成感」が生まれ、分からないことだらけでも、「一通り終わった」ような気になることの心理的メリットは大きいのです。

【問題集の使い方】
第一段階=何も見ずに実力でやる。
第二段階=辞書や参考書を駆使して調べ尽くし、満点解答を目指す。
第三段階=解答解説を熟読して、未熟な理解を完全な理解に変える。
 例えば、センター英語200点(リスニングを除く)を実力でやって120点、調べてやって180点になったとすると、120→180点の60点分は単語・熟語・文法等の「知識の差」であり、知識を増やしていけば克服できる部分ですが、それでも200点満点にならず、残ってしまった20点分は何かというと、それが「論理的思考力」の部分なのです。知識を増やすことは短期間でも解決できますが、論理的思考力を伸ばすには時間がかかるので、1日1題とか地道なノルマをこなしていく必要があります。また、過去問であれば最低3年分以上やらないと、レベルも傾向も分かりません。難関であればあるほど、入手できるだけの問題をこなしていくべきです。

【勉強を進める上で効果的な「質問の仕方」とは】
 基本的に、「どこが分からないの?」と聞かれて「全部です」と答える人は論外です。実は「質問」する前に、「自分は何が分かっていないのか」(問題の所在)を明確にすることは、そのまま「何が分かりさえすればいいのか」ということに直結するため、答えの半分は出たも同然となるのです。


7、予備校・塾・家庭教師のメリット…情報・ノウハウ・ペースメーカー・仲間

【弱い人には予備校・塾・家庭教師が必要】
 基礎学力に不安がある場合は最初のとっかかりが難しいものです。何度も勉強開始をためらっては、ただ何となく時間が過ぎていくということが往々にして見られます。大学受験をやろう!と腹を固めたら、すぐに予備校や塾の授業に参加したり、家庭教師に来てもらって、まず勉強のペースを作ることが一番現実的です。最初の1~2ヶ月は分からないことだらけ、知らないことだらけでも、「予習をする」「とにかく授業に出る」「分からないことがあれば質問する」といった基本的なことを地道に続けていくことが一番大事なのです。最初は学力そのものよりも生活上のペースを作れれば上出来ですし、それ以上の高い目標設定をして、自らつぶれることは避けなければなりません(真面目な人ほどこういう傾向が見られます)。
 特に7月までの前期期間は、スローペースで全然構わない時期です。この期間を通じて受験科目の基礎を一通りやったという立場に立てれば第一ハードル通過です。英語などは普通半年は結果が出ない科目ですし、最初からそういう事実を知ってかからないと、砂に水をまくような期間が耐えられません。「やっても全然分からない」「自分には無理だ」となってしまうのです。忘れてもいいから、「文法は一通りやった」「英文解釈の基本は学んだ」という次元でも十分です。本格的に学力が伸びてくるのは後期からですから、前期は「続けた者が勝ち」と思うべきです。

【専門家のメリット】
 予備校・塾・家庭教師の最大の強みは「情報」が豊富であることです。大学受験に何年もかけていいのなら、わざわざお金を払って専門家を利用する必要はありません。一定期間に一定の結果を出す、もっと言えば「最短期間の最大効果」「最少努力の最大成果」が予備校を利用する最大の意義です。学力に不安があればあるほど、より高い目標であればあるほど、専門家を利用する必然性が高まります。時間が豊富にあれば、いろいろ試行錯誤して、自分でノウハウを確立していけばいいでしょうが、時間がもったいなければお金を出して、分かっている人に何から何までノウハウを教えてもらう方が手っ取り早いのです。選り好みにしなければ、大学には入り易い時代になり、「早稲田行きます!」「慶應目指します!」と簡単に言いますが、現実をよく知った上で目指しましょう。大学受験は犠牲なくしていい結果が出るなどあり得ませんので、絶対に甘く考えるべきではありません。
 具体的には予備校・塾・家庭教師の授業を中心においてペース作りをしていくことになります。何かペースの中心になるものがないと、長丁場の受験勉強はなかなか難しいものです。独学が難しい理由の1つはここにもあります。そして、予習中心主義に切り替え、自習を充実させることが必須となります。大体、自習が充実しているかどうかで、その人が最終的に到達できるレベルが見る人には見えてしまいます。文系なら英語、理系なら英語と数学に予習の重点を置いて、授業の密度を濃くしなければなりません。これらの科目は何の準備もせずにいきなり授業に出たとしても、効果が薄いのです。例年のことですが、授業に出続け、しょっちゅう質問や相談をする人は、必ずといっていいほど道が開けるものです。


8、受験勉強の半分はメンタル・マネジメント…最初と直前の1~2か月がヤマ場

【誰がやっても最初は不安】
 基礎学力に不安がある人がいざ目標を掲げて勉強を開始したものの、最初に分からないことだらけで、「本当に自分なんかに出来るんだろうか?」「間に合わないんじゃないか」「やっても無理じゃないか」などと「不安」が募り始めます。これはどんな勉強でも仕事でも最初は「砂地に水をまくような空しい、不毛の期間」があるためで、これを乗り越えたらポンと飛躍する(これをビジネスでは「アイスブレーク」などと言います)のですが、こういった期間の存在を知らないと「この状況がずっと永遠に続くのでは」と焦りに駆られます。これは誰がやっても初めてのことはこうなるので、この期間をあることを知っていて臨むか、知らないで突入するかが大きな差となるのです。勉強や仕事によっても差がありますが、1~2ヶ月から半年ぐらい続くこともあり、「挫折」するのはほとんどこの期間です(逆にこの期間を過ぎれば「挫折」は激減します)。
 「不安」が次に高まるのは試験直前期ですが、ここに来て、「自信が無い」「受かる気がしない」という相談が急増します。これはまだ受けたことの無い試験である以上、当然のことであり、合格して初めて「ああ、今までの勉強で良かったんだ、間違っていなかったんだ、このレベルで受かるんだ」ということが思えるのであって、未受験期には「不安」を解消しきることは出来ないと知るべきです。逆に自信満々に試験に臨む人も少数ながらいますが、結果が出るまでは安心すべきではありません。
しかしながら、1回でもこうしたプロセスを経て「結果」で出た場合、自分がそれまでやって来たことに対して「自信」を持つことが出来るようになります。そして、次に別の形での試験や競争があった場合でも、「かつて、ああして全くゼロから始めて何とかなったじゃないか」と思えるので、今度は多少の「自信」を持って臨むことが出来るようになるのです。これを何度か経験していくと、「自信」は「確信」へと変わっていき、初めて手がけることでも物おじすることなく、取り組んでいくことが出来るようになります。これは「1の成功体験」が「10の見聞・知識」に勝るからです。

【「時間のトリック」に気づく】
 試験まで半年を切ってくると増えてきますが、「時間が無いから今年はムリだ、来年にしよう」と安易に考える人は、1年後もやはり同じような言い訳を繰り返してしまいます。要は「時間」が無いから問題なのではなく(「時間」は今までにもたっぷりあったはずです)、「最善」(自分にとって出来る限りのこと、やれる限りのことをやり尽くす)を尽くせていないことに問題があるのです。これは「時間がないからできない」と思いこまされる「時間のトリック」と言ってよいでしょう。

【やるべきことは「最善を尽くす」ことだけ】
 どんなに勉強しても努力しても「不安」は消えないとしたら、どういう「基本姿勢」で勉強したらいいかというと、「自分に納得がいくように勉強する」「最善を尽くす」ということになります。「これだけやったんだから、後は運任せだ」「これ以上、自分にどうしろって言うんだ?」という気持ちになれば、結果が良い場合には「自信」となり、結果が悪い場合でも「あれだけやってダメなんだからしょうがないな」と事態を受け入れることが出来るのです。実際、時間が足りなくて結果に結びつかなかった人でも、最善を尽くした上での結果であれば、もう1年延長すればもっと上方での結果を予測することが可能です。
 試験直前になれば、現状を客観的に自己分析して、志望変更をしたり、スベリ止めも受けたりとするわけですが、ここで注意しなければならないのは、「あの時、ああしておけば・・・」という「後悔」だけは絶対に残さないことです。戦略的に志望を変更したり、下げたりすることは「最善を尽くす」ことの一環でもあるので、決して悪いことではありませんが(むしろ必要です)、「受けようと思っていたのに、直前で自信が無くなって、受けるのを止めてしまった」などという後悔をその後に引きずるぐらいなら、自分に納得のいく、後悔しない道を行くべきです。


9、模試の活用法…駿台・河合塾・代ゼミの模試を受ける理由

【受けるべき「模試」も決まっている】
 難関大学なら駿台、良質な問題なら河合塾、データなら代ゼミとなるでしょう。また、医学部・歯学部・薬学部・看護医療系学部などであれば、専門模試を受験しなければなりません。毎月1~2回受験して場数を踏み、最低3回以上のデータを見て傾向を把握する必要があります。基本的に合格ラインはC判定までであり、目標校・同レベル校・スベリ止め校の3段階に分けて、それぞれ2~3校ずつピックアップして微修正を重ねていくことになります。

【駿台について】
東大や医学部を受けるのに駿台模試を受けないというのはあり得ません。駿台は授業も模試も難しすぎる場合があり、生徒に対して必ずしも親切ではありませんが、集まる生徒の質が高いのが魅力です。

【河合塾について】
 河合塾は作問能力が高く、なぜこの問題を出したかという意図が明確なため、模試自体が格好の勉強材料となります。大学入試作成ビジネスをやるだけの力を最も有していると言えるでしょう。

【代ゼミについて】
 代ゼミは授業も模試もズバ抜けているわけではありませんが、『データリサーチVol3』(スベリ止め探しに不可欠な競争率・合格最低線の情報入手に重宝する)に代表されるデータの強みを持っています。

【模試の活用の仕方】
①緊張
 何百人、何千人と受ける中で、「周りは皆デキるような気がする」という体験を味わい、そうした中でも実力を発揮できるようにするために、場数をこなす必要があります。
②時間配分
 じっくりやればできる問題を、時間に追われる中でやっているとできなくなってしまうことがあります。「情報処理」である以上、圧倒的な実力差(センター試験を数分で解いて満点という猛者もいます)を持っていない限り、時計を何十回も見ながら、解答作業を進めなければなりません。
③カン
 できないなりに、知識が足りないなりに、持っているものを如何に駆使して、解答欄を埋めていくかという作業が必要です。特にマークシートであれば、カンを磨くことも必要です。 ④ケアレスつぶし
 難関受験になるほど、「どれだけ○だったか」ではなく、「どれだけケアレスミスを防いだか」という戦いになります。マークシート式なら実力以上の結果も生まれますが、記述式は実力以下しか出ないため、どれだけ実力に近づけていけるか、無駄な失点を防ぐことが出来たかがカギとなります。
⑤自己採点
 模試はその日のうちに自己採点し、間違った所をあいまいにせず、きっちり修正しておかなければなりません。データが返ってくる頃には、問題内容を忘れてしまっているものです。
⑥データ
 結果分析によって、今の自分の勉強は間違っていないか、今後どういう取り組みが必要かといったことが浮き彫りになってくるので、単に順位や合格可能性に一喜一憂するのではなく、今後の指針を見つけ出すデータとして活用しなければなりません。


10、夏期講習・冬期講習・直前講習は必要か…夏に基礎の総復習と苦手つぶしをする

【夏期講習の趣旨】
 「大学受験の天王山は夏期講習にあり」ということはよく言われますが、これは大原則です。夏期講習に趣旨は次の2つに集約されます。
①基礎の総固めを行なって、受験に必要な科目の基礎を一通り押えること。
 つまり、受験科目は一通り全部、夏期講習で受講し、基礎事項に関しては全く見たことが無いという事態は避けるということです。なぜなら、秋からは応用演習の段階に入りますので、その時点でまだ押さえていない基礎事項があるというのは致命的だからです。
②苦手科目の穴を無くすこと。
 夏期講習の目的は「基礎学力の確保」ですから、抜きん出た武器を作るところまで行かなくてもいいのです。しかし、少なくとも苦手科目に関しては、「足を引っ張る」という状態を脱し、「人並み」レベルに持っていっておく必要があります。これも秋の応用演習段階に持ち込んでしまうと、ものすごい時間のロスとなってしまいますので、夏のうちに決着をつけることです。苦手科目ほど時間をたっぷりかけ、試行錯誤しつつ、手取り足取り教えてもらう必要があります。ですから、苦手科目に関しては3~4つ受講科目を確保し、じっくりと取り組まなければなりません。

【冬期講習の利用の仕方】
 冬期講習を利用する場合は、最後のステップアップを図りましょう。12~1月は集中力も違い、最後に大きく伸びる時期です。この時期は過去問による総仕上げと+10点、+20点の実践的知識を吸収しましょう。
また、この時期の勉強時間は1日5~6時間というのは論外です。7~8時間で普通、10時間を超える日もある、と思ったらよいでしょう。最後の追い込みをかけるためにも、冬期講習期間にラストスパート用の勉強ペースを作るのです。これができたら、本番ぎりぎりの1~2月の間にもグングン伸びます。

【直前講習は必要か】
 逆に直前講習はそれほどメリットがありません。直前期は今までやったことの総復習による知識の活性化と、過去問ラッシュが基本となるからです。やるべきことが明確なので、余計なことに手を出すヒマがありません。

11、最後にものを言うのは情報戦と運…最後まで最善を尽くす人には道がある

【「競争率」「合格最低線」掲載のデータブックが不可欠】
 スベリ止めは競争率・合格最低線で決めるため、『代ゼミデータリサーチvol3』は必須アイテム。競争率2倍以下、合格最低線50%以下をピックアップします(逆に競争率3倍以上、合格最低線60%以上の所はそれなりの戦いを覚悟しなければなりません)。こういった所を数校受験すれば、合格する可能性はぐっと高くなる。また、以下のような選択肢も考慮に入れると、戦略の幅が広がってきます。

【編入試験について】
 一般的な編入試験の優先順位は、①附属短大生の4大編入、②夜間部生の「昼転」、③他大学からの編入であるので、有名な大学に入れなくても、その大学の附属短大や夜間部に入って、途中で「編入」するという裏技が出て来ます。例えば、1年次帝京大学経済学部、2年次東洋大学経済学部で学び、さらに3年次立教大学経済学へ移って、大学院で慶応義塾大学、そしてニューヨーク大学へ留学して金融論を学ぶことを目指したケースもあるほど、今は「編入」によるステップアップがしやすくなっています。

【通信制大学について】
 「通信」であれば無試験、低額費で入学することが出来、慶応義塾大でも欧米大学でも学ぶことが出来ます。ニューポート大学のように割と有名な大学でありながら、選択言語に「日本語」を入れている所もあり、日本にいながらにして大学・大学院の学位(学士・修士・博士)を取ることすら可能になっています。ちなみに落語家の三遊亭楽太郎も自分の論文(「心から笑える健康づくりのために」)を知人に英訳して貰い、アメリカ・ルイジアナ州のアメリカンM&N大学に送って「理学博士」の認定書を得たことは有名です。

【4年で実を取る、大学院で勝負するという道もある】
 将来の職種を決めていて、それが技術を生かしたものなら、専門学校が早道ですが、特に明確な進路が決まっているわけではない人の方が圧倒的多数です(10代後半から20代前半でもう一生の仕事を確定しろという方がそもそも無理な話です)。この場合は、大まかに関心のある領域だけ見定めていって、とりあえず大学進学をした方が無難です。そうすれば、最低限「大卒」という社会的評価を得ることができ、「本当にやりたいことは大学4年間で見つければいい」という長期計画にすればいいだけだからです。
 さらに、臨床心理士やMBA(経営学修士)を目指している人などは、結局、大学院が問題になりますので、大学が不本意でも、4年間一生懸命勉強していい大学院に入るという選択肢も出てきます。これは準備期間を4年間に増やし、勝負を先送りにするということでもあります。

【自分の「リズム」「サイクル」を知らないと損をする】
「試験時期に運が下がるサイクルの人」は練習に強く、本番に弱い人の典型となります。例えば、毎年のように1月の共通一次(現センター試験)で1000点満点中920点前後(東大、医学部レベル)を取りながら、3月の2次試験の時に体調を崩して、惨敗し続けた人もいます。また、松下幸之助は採用面接試験時に「あなたは運がいい方ですか?悪い方ですか?」と訊ね、「運はいい方です」と答えた人を優先的に採用したことがあると言います。萩本欽一も弟子を採用する時にやはり「自分は運がいいと思うか、悪いと思うか」と聞き、「運がいいと思う」と答えた人を採ったと言います。なぜなら、「運が悪い」と思っている人はせっかくチャンスがめぐってきても、それをモノにすることができないからであるというのです。「運も実力のうち」ということですね。

【開き直ると「運」が好転する不思議】
 結果に一喜一憂したり、先んじて心配し過ぎると、委縮してしまって、実力をなかなか発揮できなくなるものですが、「もうどうなってもいいや」と開き直ると、実力以上、思った以上の結果が生じることがよく起きます。いわゆる「無欲の勝利」というものですが、ここに至る一つの手法として呼吸のコントロールがあります。あせっている時は呼吸は浅く、早くなっており、落ち着いている時は呼吸は深く、ゆったりしているものなので、意識的に深呼吸をして呼吸を落としていくのです。


12、奨学金と教育ローンについて…毎月10~15万円くらいは奨学金で確保できる

【日本学生支援機構:大学に入学する前の申込み(予約採用)】
①第一種奨学金
・利息:無利息
•申込資格:大学に進学を希望し、下記のいずれかに該当する人
(1) 平成27年3月末に高等学校又は専修学校(高等課程)を卒業する予定の人
(2) 高等学校又は専修学校(高等課程)を卒業後、2年以内の人で、大学・短期大学・専修学校に入学したことのない人
(3) 高等学校卒業程度認定試験もしくは大学入学資格検定に合格した人(大学等へ入学したことがある人は除く)、科目合格者で機構の定める基準に該当する人、又は出願者
•申込先:
申込資格(1)の方・・・在学している高等学校又は専修学校(高等課程)
申込資格(2)の方・・・出身高等学校又は専修学校(高等課程)
申込資格(3)の方・・・日本学生支援機構に直接
•募集時期:在学している(在学していた)学校に確認してください
•学力基準:
(1) 高等学校又は専修学校高等課程の1年から申込時までの成績の平均値が3.5以上
(2) 高等学校卒業程度認定試験もしくは大学入学資格検定に合格した人、又は科目合格者で機構の定める基準に該当する人
②第二種奨学金
・利息:年利3%を上限とする利息付(在学中は無利息)
•申込資格:大学に進学を希望し、下記のいずれかに該当する人
(1) 平成27年3月末に高等学校又は専修学校(高等課程)を卒業する予定の人
(2) 高等学校又は専修学校(高等課程)を卒業後、2年以内の人で、大学・短期大学・専修学校に入学したことのない人
(3) 高等学校卒業程度認定試験もしくは大学入学資格検定に合格した人(大学等へ入学したことがある人は除く)、科目合格者で機構の定める基準に該当する人、又は出願者
•申込先:
申込資格(1)の方・・・在学している高等学校又は専修学校(高等課程)
申込資格(2)の方・・・出身高等学校又は専修学校(高等課程)
申込資格(3)の方・・日本学生支援機構に直接
•募集時期:在学している(在学していた)学校に確認してください
•学力基準:
(1) 高等学校又は専修学校(高等課程)における学業成績が平均水準以上と認められる者
(2) 特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる者
(3) 大学における学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる者
(4) 高等学校卒業程度認定試験(大学入学資格検定)に合格した人、又は科目合格者で機構の定める基準に該当する人
③貸与月額

国・公立 私立
自宅通学 自宅外通学 自宅通学 自宅外通学
第一種奨学金 45,000円 51,000円 54,000円 64,000円
30,000円
第二種奨学金 30,000円・50,000円・80,000円・100,000円・120,000円のいずれか
 第一種奨学金では、学種別・設置者・入学年度・通学形態別に定められていますが、3万円を選択することもできます。
 第二種奨学金では、国公立・私立、自宅・自宅外にかかわりなく5種類の月額から選択でき、希望により、採用された年度の4月に遡って借りることができます。12万円を選択した場合に限り、私立大学の医・歯学課程は4万円、薬・獣医学課程は2万円の増額が可能です。貸与期間中に必要に応じて、貸与月額を変更することもできます。
 奨学金は、毎月、本人名義の銀行、信用金庫又は労働金庫の普通口座に振り込みます。

【国の教育ローン】
 お申込みから約2週間でお客様ご指定の口座へご入金いたします。ご来店不要。インターネットや郵送でもお手続きが可能です。受験前、合格前であってもお申込み可能です。
 お子さまお1人につき350万円以内。海外留学資金(外国の短大・大学・大学院への1年以上の留学資金)の場合は450万円以内(海外留学資金以外のご融資金を含みます)。融資限度額はお子さま単位ですので、上のお子さま、下のお子さまとも それぞれ350万円までご利用いただけます。
 今後1年間に必要となる費用がご融資の対象となりますが、融資限度額内であれば、複数回に分けてお借り入れいただくことが可能です。


13、不登校・高校中退者は高卒認定から…16歳の年度から受験できる万能資格

【高卒認定のメリット】
 さて、こういった学歴社会である日本において、中卒者・高校中退者の置かれた状況は決して甘いものではありません。バイトや就職などで社会に出てから何年もすると、否が応でもこの「学歴の壁」といったものを痛感することになります。そこで「学歴リセット」をするにはどうしたらいいのか、あるいは「やりたいこと」が見つかったのに、それをやるためには「学歴」が必要だとなった場合、最も効率よく、誰でも出来る方法でそれを実現するとしたらどんな方法があるのか、ということになるのですが、そこで登場するのが「高卒認定試験」です。これは高卒程度の基礎学力試験なので、これに合格すれば「高卒同等」として進学でも就職でも資格試験でも全て適用されるのです。
 これに対して、通信制高校などに入るという手もあるのですが、トータルで3年間かかってしまうこと、最終的に卒業までこぎつけるのが平均20%にとどまること、学力がそれほどつかないこと、最終的に得られるものが「高卒」という学歴にとどまること、などといった点で必ずしもメリットが多いわけではありません。高卒認定の場合なら、短期間でも決着はつくのみならず、一度合格すれば一生有効で2度と受ける必要がなく、かつ基礎学力をつけないわけにはいきません。要は学力がつかないまま「高卒」になるよりも、学力をつけて「高卒程度」になる方がはるかにその後の進路に直結するのです。高卒程度の基礎学力もないまま、進学したところで、もっと高度な学問をやっていけるはずもありません。「勉強の基本を身に付け、基礎学力だけはきちんとつけた上で、最短距離で次の進路にステップアップする」、これが高卒認定の最大のメリットと言えるでしょう。

【意外に知らない「高校中退者は毎年10万人以上、20年で200万人」という事実】
 高校中退者は毎年10万人以上おり、しかも約20年間にわたって毎年ほぼ10万人以上となっていますので、20年で約200万人の高校生が中退していることになります。中退率は大体2~3%で、40人学級ならクラスに1人は中退者がいる計算になりますが、高校によっては3年間のうちにほぼ1クラス分の中退者が出ている所もあります。つまり、高校中退ということは珍しいことでも何でもなく、「主要な選択肢の1つ」という現実を知っておく必要があるのです。

【高校を辞めるなら早い方が本人のため】
 最近は、今は入学後1週間でも合わないとなればすぐにやめます。3年間忍耐し続けることの方がリスクが大きいからです。高校生活に限界を感じる3大理由は①人間関係、②学力不安、③健康上の問題ですが、全日制高校でうまくいかなかったから、じゃあ通信制高校でと単純に考えることはできません。高校という環境そのものが負担になっているケースが非常に多いからです。精神衛生上、高校以外の選択肢を考えた方が本人のためというケースが、実に多く見られます。

【「高校くらいは出ておくもんだ」→「大学くらいは出ておくもんだ」という変化】
 「高校ぐらいは出ておくもんだ」とは今は昔となりました。今はどちらかと言えば、「大学くらいは出ておくもんだ」という時代です。世間体や古い常識から高校にこだわり、通信制高校を3年かかってやっと卒業しても、それで得られるものは「高卒」という学歴だけですから、そこでかけた時間・お金・労力が必ずしも見合うとは言いがたいのです。 ちなみに日本の社会は「学歴主義」ですが、もっと正確に言うと「最終学歴主義」です。したがって、高卒認定試験(旧大検)合格後に大学・短大・専門学校に進学した人は大学・短大・専門学校が「最終学歴」となりますので、それ以前が「高校中退」であろうが、「高卒程度認定試験合格」であろうが、全く不問となります。「高校にこだわる理由がない」というのも、実はここに理由があります。

【高卒認定試験は万能に近い】
 高校以外の選択肢となると、当然、高卒認定試験となりますが、これは大学・短大・専門学校進学希望者に限られたものではなく、資格試験・就職の際にも幅広く適用されますから、「実質的学歴化」と言ってもよく、この点に関してはほぼ万能です。
 高卒認定試験は大体高校1~2年前半のレベルですので、大学受験で言えば基礎にほぼ相当します。大学受験を考えている人であれば、学力をつけることは不可欠ですが、高卒認定試験の勉強がそのまま大学受験に直結しますので、ムダがありません。また、高卒認定試験のみを考えている人でも、基礎からきっちり勉強したいと考えている人は実は相当数いるのです。高卒認定試験はムチャクチャな難問・奇問は一切出ず(趣旨に合いません)、基礎学力を確認するような問題がほとんどですので、やって損するということはありません。ある意味では「この程度の基礎学力はつけておくべき。そうしないと次の進路にステップアップした場合、困るのは本人」と言えますので、やるべきことがはっきりしているとも言えるでしょう。

【高卒認定試験は「攻め」、通信制高校は「守り」】
 概して高卒認定試験を目指す人はその先の「将来」を考え、通信制高校は当面の「現在」を見ているということが言えるでしょう。言わば、高卒認定試験は「攻め」、通信制高校は「守り」というわけです。実は通信制高校の最も有効な利用法は、高卒認定試験で取りこぼした1~2科目の単位を半年で取る「聴講生」制度です(最近ではさらに短い「短期集中講座」すらあります)。高卒認定試験後の進路が固まっている人で、より確実に終了させるために高卒認定試験と併用するのが最も効果的です。これは「単位を買う」という方法とも言えますが、これがあるので、2年にわたって高卒程度認定試験を受ける必要はなくなるのです。

【高卒認定試験なら高校3年分の勉強が1年で終わる】
 高卒認定のイメージとして「3~4年かけてやっと合格した人がいる」「高校3年分の勉強を試験だけで終わらせるんだから、そんな簡単なはずがないだろう」というものがあり、高校の先生方にもこうしたイメージが残っている場合があります。実は高卒認定は合格ラインが40点で、「きちんと傾向に沿った準備をしていけば、一発でちゃんと結果を出せる試験」となのです。また、問題形式は完全マークシート方式で、記述は一切ありません。したがって、実力+αのまぐれもあり得ます。
このシステムのメリットを見抜いた人の中には、高1相当の8月に全科目を取得し、残り2年半かけて悠々と大学受験勉強したり、バイトや各種学校での勉強、短期留学に当てている人もいるほどです。その後の進路を決めている人にとっては、これほど便利な制度は無いと言えるでしょう。


14、通信制大学という選択肢もある…総学費70万円の放送大学から書類審査で入学の慶應義塾大学まで

【放送大学なら15歳でも入れる】
 あまり知られていないことですが、放送大学は15歳から入学できます。高卒認定試験を取りつつ、放送大学で受講を開始(科目履修生)し、単位を取って、18歳になってから卒業コース(全科履修生)に振り替えていけばいいわけです。今では大学院も開設されたので、大学院卒までもっていくことが可能です。ただ、ネームが弱いこと、他大学からの単位互換は可能であるものの、放送大学から他大学への単位互換がまだ一般的でないことが欠点です。もしも放送大学から他大学への単位互換が一般的になってくれば、使い勝手は格段によくなります。
ちなみに一般の大学の通信教育部で最もレベルが高いのは慶應義塾大学です。入るのは書類審査だけで、学費は年間20万円以下、卒業すれば誰もが「塾員」となることができるというのはオイシイ所ですが、大体、通信制大学を4年で卒業するのはなかなか大変で、4年以上はかかると見た方がいいでしょう。また、通学部が出席・テスト・レポートを要領よくこなしていれば誰でも卒業できるのと違って、通信部の場合はきっちりとレベルが要求されるので、実は通学部の方がラクということはよく言われることです。

【米国大学院通信課程で修士号、博士号を取ることも出来る】
 留学することは誰もがあこがれるところですが、今は通信課程も整備されてきているので、米国大学・大学院通信課程で学士号・修士号・博士号を取ることもできるようになってきました。ただ、実際に使うとすれば、日本の大学卒→就職→米国大学院通信課程で修士号・博士号を取るというのが、一番現実的でしょう。ちなみに落語家の三遊亭楽太郎氏も米国大学院(アメリカ・ルイジアナ州のアメリカンM&N大学)で理学博士号(テーマは「心から笑える健康づくりのために」)を取っています。ただ玉石混交なので、ニューポート大学など実績と評価が確立している所を探しましょう。


15、サークル・ボランティア・留学キャリアを最大限に活用する…大学生活の充実

【サークル活動について】
 大学に入ればサークルは貴重な「自分の居場所」となります。しかし、サークルによって自分が成長することもできれば、逆に自分をダメにすることもあるのです。「なぜ、このサークルに入るのか」という目的意識が明確で、成長動機がはっきりしていれば、多くのものを吸収でき、なおかつそこでできる人間関係は大学を超えて、おそらく一生の付き合いとなっていくので、お金では買えないような友情や人脈を築いていくことができるのです。こうしたスタンスであれば、複数のサークル活動を展開することも意味がありますが、そうでなければいくつ掛け持ちしても一緒です。ただの「たまり場」が確保されたに過ぎません。
 さらに大学内は広いようで意外に狭いものです。大体似たようなレベル・意識の人達が集まっているのですから無理もありません。できればインターカレッジのサークルに参加しておきたいものです。大学を超えた交流が始まり、各界各層とまではいかなくても、多種多様な人物群との交流が可能になります(バイトもまたそうした場の1つです)。大学も国公立と私立では全然雰囲気が違い、女子大やミッションスクールはさらに違います。友達の幅の広さはそのまま人間の幅の広さにつながるものなのです。
 ちなみに日本の大学内のサークルでは、それほど大したことは期待できないかもしれませんが、例えばドイツには学生連盟(ステュデンテン・フェアビンドング)があり、カトリック系・プロテスタント系合わせて100以上、しかもそれぞれが定宿(シュタム・ロカール)を持って、学期中には週1回集まり、大学を転校(ドイツでは1学期ごとに転校できる)してもついて廻る存在となっているため、社会に「連盟閥」とでもいうべきものを形成(ドイツにいわゆる「学閥」は存在しない)しているとされます。さらに欧米社会には「クラブ」の伝統(さらにさかのぼれば「外交ギルド」に代表される「ギルド」の存在があります)があり、恐るべき人脈と影響力を誇るトップエリート達の集まりがあります(最近、注目されているダボス会議なども実はそうした集まりの1つです)。こうした伝統の存在やそのメリットを知っておくと、サークルの活かし方も変わってくることでしょう。

【ボランティアについて】
 ボランティアは是非経験すべきです。人によっては人生が変わるほどの衝撃を受けます。そこまでいかなくても、物の見方が大きく変わることは確実でしょう。福祉施設を訪問するもよし、バザーで福祉商品を売るもよし、行政の福祉課を訪ねて話を聞くもよしです。あるいは世界に目を向けて難民救済やアムネスティ・インターナショナルやユニセフの活動に参加することもできます。
 こうした実体験からおそらく2つの事実に直面するでしょう。1つは現状のやりきれなさ、もどかしさであり、もう1つは人の心に対する不信と感動です。例えば、心や体に重い障害を持った子の親達は1度は自殺の誘惑に駆られると言います。「自分が死んだらこの子はどうなるのか」という不安がつきまとい、子供以上に親が追い詰められていくのです。『お母さん、ぼくが生まれてごめんなさい』(向野幾世、旺文社文庫)にはこうした心理や現状がつぶさに描かれています)。身近にそうした存在がいなかったとしても、こうした現状の一端に触れると、一体自分に何ができるのか、何をどうしたら解決できるのか、訳が分からない境地に追い込まれます。実社会には答えの無い問題がごまんと転がっています。小学校から受験勉強までのように答えが1つに決まっている問題など、例外中の例外と言えるでしょう。「どうしたらいいんだー!」と思わず絶叫したくなるようなテーマに、いくつもぶつかるべきです。
 また、人に福祉への協力を呼びかけ、お願いする時、人は決してお金があるからボランティアに参加するのではないことが分かるでしょう。高級住宅地の1ブロックに悠々と1軒かまえている人でも嫌な顔をする一方、日雇いのおじさんがうんうんと話を聞いて夕食代を全部出すなんてことも起きるものです。さらに衝撃的なのは障害者の方が、障害者のために協力をすることすらあることです。自分も援助を受ける立場なのに、話を聞いて涙を流し、なけなしの協力をしようとするのです。「何て人は冷たいんだ、もう人は信じられない」と落ち込むこともあれば、「人っていいな、捨てたもんじゃないな」と心に灯りがともることもあるでしょう。そのいずれも人間の真実の姿なのです。

【留学・国際交流について】
 大学の留学システムの有無については調べておくとよいでしょう。高校卒業と同時にダイレクト留学という手もありますが、大学の提携校を通したワン・クッション留学の方が安全性という点で、メリットがあるからです(「単位互換制」によって単位認定される場合もあります)。
 また、国際交流ですが、伝統的に日本における国際交流の主流は欧米圏との交流にあります。ところが、国際交流の基本は隣国関係であり、ここで信頼関係を築けずして真の国際交流とは言い難いところです。しかし、同時に国境を接する隣国関係ほど難しいものはなく、歴史的怨恨や利害関係が入り組み、国際紛争を解決する重要手段として「隣国付加侵条約」(これは海の存在を考慮に入れると、考えられないほどの効力を発揮します)が真剣に考察されるほどです。日本の場合、まず韓国、次いで中国との交流が決定的に重要でしょう。今でこそ、若者の間では意識も変わりつつあり、スポーツ交流も盛んですが、80年代には教科書問題をきっかけに反日感情が再燃しており、ほとんどの交流プロジェクトは失敗したと言われています。機会があれば、積極的に隣国との国際交流、アジアとの国際交流に関与すべきでしょう。欧米圏(特に重要なのはアメリカです)との交流は、政治・経済・文化上の理由や安全保障上の意義がありますが、隣国関係・近隣関係をないがしろにして優先すべきではありません。例えば、韓国では徴兵制があり、若干の例外を除いて青年男子は皆兵役につかなければならないため、政治・経済・国防・安全保障などの分野において、日本の若者と決定的な意識の差がありますが、その一方でせっかく大学で学んだ知識も台無しになったり、交友関係に変化を強いられるなど、特有の悩みもつきません。韓国の片田舎で冷麺を食べていると、窓の外を戦車がガタゴトと走っていた、などという光景は日本では考えられないことでしょう。

【在学中でのキャリア作り】
 今はネット求人も盛んなので、昔のように何十社にも資料請求し、OBと会い、面接試験を重ね、内定を取っていくというプロセスの前に、ネットでエントリーした段階で蹴られるということも増えてきました。早々と内定が決まる人と、何十、何百社回っても全然決まらない人と、二極化傾向も起きています。つまり、在学中に何をしてきたのか、どんなことができるか、どんな資格を持っているのか、どういう仕事をしたいと考えているのか、こういったことが問われてくるのです。昔のように体育会に入って、幹事とか役をやっていると有利といった時代は過ぎ去りました。取れる資格は極力取っておき(在学中には取りやすくても、社会に出てから改めて取ろうとすると大変です。ダブル・スクールは今では当たり前のようになってきました)、留学制度があれば短期・長期を問わず、それに参加し、職歴・キャリアもすでに手をつけられるものなら手をつけておきたいところです。


16、自立の三段階…精神的自立・経済的自立・社会的自立を見据えた現状認識の重要性

【自立の三段階について】
 在学中は親の援助を受けている人がほとんどですが、この期間に「自立」の準備をしなければなりません。「自立」には、精神的自立、経済的自立、社会的自立の3段階がありますが、最低でも第1段階、できれば第2段階に部分的には入っておきたいところです。「自立」の反対は「依存」であり、これは多くの面で人の成長を妨げます。自立・独立のないところに結婚はなく、また家庭なくして社会的貢献も難しいところです。
ここではユダヤ人の教育における「自立」についてみてみましょう(手島佑郎著『ユダヤ人はなぜ優秀か その特性とユダヤ教』より)。

 ルリエ氏は今ではエルサレムに大邸宅を構えている富豪だ。彼が十六歳になった時、父親は彼をロンドン留学に出した。出発に際して、父親は息子に百ポンドを留学費用として渡しながら、こう言った。「いいかね、これが君の留学を賄う全費用だ。ただし、留学中にこの百ポンドを使ってしまわないことだ。四年後に君が帰ってくる時には、そっくり百ポンド返してくれ」
 ルリエ少年はどうしたであろうか。彼はロンドンに着いて、しばらくあれこれと名案を考えた。やがて彼はその金の一部を投資して株に手を出した。四年後にロンドン大学経済学部を卒業する時には、彼はもう株式市場の専門家になっていた。

 日本はまれに見る母性社会なので、なかなかこのような教育はできるものでもありませんが、自分自身がこうした自立志向・独立志向の意識を持つことは大変重要です。

【バイトについて】
 本格的に働くのは社会に出てからということになりますので、バイトをする場合は金儲けという以上に社会勉強という要素が強くなります。社会に出てから転職を頻繁に繰り返すのはデメリットもあり(アメリカでは20~30代には普通のことですし、また実力をつけた後にはあり得る話です)、在学中に自分をいろいろと試すのがよいでしょう。学生生活が勉強とサークル活動のみで終わったというのは寂しい話です(逆にバイトだけで終わったとしたら、もっと寂しい話ですが)。社会に出て行くための準備として、バイト体験は貴重なものなのです。経済観念、ビジネスの基本、対人接客のマナー、各種業界の知識など、吸収すべきものはたくさんあります。
 また、将来、目指している職種によっては、在学中にバイトからその仕事に入っていくことが不可欠な場合があります。例えば、医療スタッフの中で人気のある診療放射線技師などは、国家試験の合格率が低く、難しい試験でもあることから、学校で学んでいる段階から現場に出て、専門的知識や技術を習得する人がけっこういます。また、放送業界であれば、バイトで現場に入り込み、仕事を覚えつつ、人脈を広げて口コミとコネで卒業後の仕事につなげていくことは普通に行われています。
 いずれにせよ、多様な職業経験、豊富な職歴は早い時期であればあるほど、人間性を豊かにする点でプラスに働きやすいのです。


17、進学・就職・結婚という人生の三大選択…失敗や逆境からも学ぶ必要性

【「進学」「就職」「結婚」は人生を大きく左右する「節目」となる】
 「進学」「就職」「結婚」は「熟慮断行」すべき3大ケースです。これらは「人生の節目」とも言うべき大事件ですから、逆にこれらをうまくクリアすれば、その人の人生は「順調」と言ってよいでしょう。特に「結婚」はその影響力が桁外れに大きく、これは「結婚」が2人の人生の融合のみならず、2つの家庭・一族の接点ともなるため、大変なエネルギーの交差点となりやすいからでもあります。

【逆境の対処の仕方が人物評価の決め手】
 人の値打ちは成功という結果ではなく、むしろ逆境の只中で決まります。誰でもお金も人間関係も仕事も充実していれば、落ち込むこともなければ、何でもできるでしょう。こうした状況下ではどんな人でもできて当然なのです。ところが、逆にお金も無い、人間関係も行き詰まった、仕事でも壁にぶつかった、というような逆境の中では、どんなに優秀な人でも落ち込んでしまいがちです。ところがここで人の真価が分かれてくるのです。そのため、財界の成功者の中には「大成するには浪人すること、大病をすること、くさいメシを食うこと、この3つが必要だ」とまで言い切った人すらいます。ビジネスの世界では左遷を通過した人を重く見ることがありますが、これも同様の理由です。したがって、逆境の只中で「今こそ自分の真価を見せる時だ。どんなことがあってもここから這い上がって見せるぞ」と思うことができれば、実は半分以上、解決したも同然なのです。

【マネジメント能力が現実的成功を分ける】
 理想は現実化されなければ「絵に描いたもち」で、意味がありません。そして、現実的な成功のために欠かせないのがマネジメント能力です。これは何も会社経営の能力に限らないことであって、セルフ・マネジメント、タイム・マネジメントなど全てに通じることです。よく近代資本主義研究で取り上げられるロビンソン・クルーソーは、まさしくこのマネジメント能力によって無人島で生き延びたばかりか、ロビンソン王国を経営・発展させたわけです。これはどの分野の人でも訓練されなければなりません(よく「芸術家にもマネジメント能力が必要である」と言われます)。

【「20代の仕事」は一生の仕事になりにくい、「転職」は30代までに】
 20代までは基本的に「修行」と考えるべきで、逆に40代以降は「何事も勉強だ」とうそぶいている段階ではありません。もう多方面・多年月にわたって経験を積み、訓練を重ねてきたものを、「専門分野」において集約・結実させなければならないということです(40にもなって「専門性=何が出来るのか、何が得意なのか、何なら誰にも負けないのか」が無いということは、「自分の顔に責任を持っていない」のと同じです)。したがって、大きな方向転換をするとすれば、必然的に30代までとなってくるわけです(「独立企業」の場合であれば、30代までにリスクを取れなかった人は、40代になっておもむろに独立して企業するより、残り10数年をサラリーマンでいた方が「リスク管理」の点からも賢明とされます。もちろん、40代になってもチャレンジ精神・バイタリティ旺盛の人であれば、40代での方向転換もあり得るでしょう)。

【「天職」は「与えられた仕事」をこなしていく中で「出会っていく」もの】
 いわゆる「自分探し」も答えは遠い旅先にあるのではなく、むしろ「縁」あって出会った仕事上の要請に答えていくうちに、いつの間にか自分も気付いていなかったような適性や能力を発見していく中で、「これかな、ひょっとして自分のライフワーク、ミッションってやつかな~」と思えてくるのであって、最初からどこかにあるものではないということです。すなわち、自分の中にある「原石」を磨いていくことによって、「自己発見」していくものが「天職」と言えるのです。